亡くなった方が生前使用していた家具や衣類、その他雑貨物をどのように処分することが適当な方法なのでしょうか。
昔のように3世代家族が少なくなり、核家族や一人暮らしの方も増えました。おじいさんやおばあさんからの形見分けという手法ではとても対応できません。では、遺品整理をどのようにしているのが一般的なのでしょうか。
郵便ポストに投函された不用品回収業者のチラシをみて、その業者へ遺族や関係者が連絡をとってお願いすることもあるでしょう。
ここで注意してもらいたいのですが、遺品は一般廃棄物扱いになるということです。
一般廃棄物は、廃棄物の処理及び清掃に関する法律(以下、廃掃法と略します)に以下のように定義されています。
第二条 この法律において「廃棄物」とは、ごみ、粗大ごみ、燃え殻、汚泥、ふん尿、廃油、廃酸、廃アルカリ、動物の死体その他の汚物又は不要物であって、固形状又は液状のもの(放射性物質及びこれによって汚染された物を除く。)をいう。
2 この法律において「一般廃棄物」とは、産業廃棄物以外の廃棄物をいう。
一般廃棄物は産業廃棄物以外の廃棄物です。排出元別に、事業系一般廃棄物と家庭系一般廃棄物に分類されます。
したがって、遺品は亡くなった方の家で発生するものですので、家庭系一般廃棄物となります。
家庭系一般廃棄物の収集や運搬、処分を行うには市町村長の許可が必要です。
一般廃棄物の収集又は運搬を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域(運搬のみを業として行う場合にあっては、一般廃棄物の積卸しを行う区域に限る。)を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。(廃掃法第七条第一項より)
一般廃棄物の処分を業として行おうとする者は、当該業を行おうとする区域を管轄する市町村長の許可を受けなければならない。(廃掃法第七条第六項より)
市町村は、一般廃棄物処理計画を定めることとされ、その計画に応じて一般廃棄物処理業者の許可をすることが求められています。
市町村は、一般廃棄物処理計画に従って、その区域内における一般廃棄物を生活環境の保全上支障が生じないうちに収集し、これを運搬し、及び処分(・・・略・・・)しなければならない。(廃掃法第六条の二より)
遺品の発生時期や件数などは予測しづらく、突発的に一般廃棄物量が増加することが起こり得ます。こうした事態に対して、市町村が早急に一般廃棄物処理業者の許可数を増やすことで、市町村民の要望に応えることは簡単ではないようです。
お住いの地域にある一般廃棄物処理業者の数が限られていることも一つの要因となり、遺族や関係者は、簡単に連絡できる不用品回収業者に遺品整理を依頼するのではないかと思われます。
不用品回収業者が一般廃棄物処理の許可を受けていれば、遺品整理して回収運搬し、処分するまでの過程に何の問題も生じません。また、一般廃棄物処理の許可を受けていなくても、遺品を整理し、依頼者の自宅前に一般廃棄物を分別して置くまでは、問題なく行うことが出来ます。ただし、そこから回収運搬、処分することは、無許可による一般廃棄物処理に該当し得ます。
遺品を整理する時間的余裕は殆んどないのかもしれません。遺品整理の内容や関係者がおかれた状況を事前によく知っておけば、リスクを加味して自分の処置を判断できると思います。遺品整理など含め、相続等について問い合わせがある方は、お気軽に弊事務所へご連絡下さい。
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