生活保護に必要のない条件

金銭的に困窮し生活が困ったとき、生活保護は最後のセーフティーネットです。生活保護は、国民の生存権を保証する制度として、憲法25条を具体的に実現するものです。

第二十五条 すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
② 国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

しかし、生活保護を申請しようとした時、行政機関は申請者に対し、様々な条件を要求して、申請を辞退するよう仕向ける慣行について新聞などで目にすることが時々あります。

具体的には

「まずは、親や兄弟からの扶養は受けられないですか」

「住所がないと生活保護は受給できませんよ」

というやり取りです。こうした質問を受けると申請者は委縮して、そのまま生活保護の申請を辞退してしまうこともあるかもしれません。これが、いわゆる「水際作戦」といわれるものです。

住所(生活保護法でいう居住地と同義です)について、どのように生活保護法が定めているのか見ていきます。

(実施機関)
第十九条 都道府県知事、市長及び社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)を管理する町村長は、次に掲げる者に対して、この法律の定めるところにより、保護を決定し、かつ、実施しなければならない。
一 その管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する要保護者
二 居住地がないか、又は明らかでない要保護者であって、その管理に属する福祉事務所の所管区域内に現在地を有するもの
2 居住地が明らかである要保護者であっても、その者が急迫した状況にあるときは、その急迫した事由が止むまでは、その者に対する保護は、前項の規定にかかわらず、その者の現在地を所管する福祉事務所を管理する都道府県知事又は市町村長が行うものとする。
3 第三十条第一項ただし書の規定により被保護者を救護施設、更生施設若しくはその他の適当な施設に入所させ、若しくはこれらの施設に入所を委託し、又は私人の家庭に養護を委託した場合においては、当該入所又は委託の継続中、その者に対して保護を行うべき者は、その者に係る入所又は委託前の居住地又は現在地によって定めるものとする。
4 前三項の規定により保護を行うべき者(以下「保護の実施機関」という。)は、保護の決定及び実施に関する事務の全部又は一部を、その管理に属する行政庁に限り、委任することができる。
5 保護の実施機関は、保護の決定及び実施に関する事務の一部を、政令の定めるところにより、他の保護の実施機関に委託して行うことを妨げない。
6 福祉事務所を設置しない町村の長(以下「町村長」という。)は、その町村の区域内において特に急迫した事由により放置することができない状況にある要保護者に対して、応急的処置として、必要な保護を行うものとする。
7 町村長は、保護の実施機関又は福祉事務所の長(以下「福祉事務所長」という。)が行う保護事務の執行を適切ならしめるため、次に掲げる事項を行うものとする。
一 要保護者を発見し、又は被保護者の生計その他の状況の変動を発見した場合において、速やかに、保護の実施機関又は福祉事務所長にその旨を通報すること。
二 第二十四条第十項の規定により保護の開始又は変更の申請を受け取った場合において、これを保護の実施機関に送付すること。
三 保護の実施機関又は福祉事務所長から求められた場合において、被保護者等に対して、保護金品を交付すること。
四 保護の実施機関又は福祉事務所長から求められた場合において、要保護者に関する調査を行うこと。

第十九条第1項第二号をみれば明らかなように、居住地が明らかでない場合でも、生活するその場所を管轄する機関に対して保護申請できると定められています。

このことは、住所を失ったホームレスの方も、現在地で申請が可能ということです。

しかし、申請窓口の職員に委縮してしまうことは少なからずあると思います。その場合、法律知識を有した者による同行があると、精神的負担感も軽減し自らの意思をより表しやすくなると思います。行政書士もそうした役割を担える専門職です。

生活保護の申請にためらいや悩みを抱えている方は、お気軽に弊事務所までご相談ください。

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