病気や怪我などで十分に働くことが出来なくなると、日々の生活を送るためのお金などがなくなっていきます。こうした経済的な苦境に直面した時、身近に頼れる親族や知人がいたら、生活の援助を申し出てくれるかもしれません。ただ、長期に渡る場合は、援助を受け続けることは難しくなってくると思います。
生活の苦境に陥ることは、自分事ではないと思っている人もいるかもしれませんが、何かの拍子に誰にでも起こり得るものです。こうした状況に陥った方々が生活のサポートを受けられるよう、国は最終的なセーフティーネットとして生活保護制度をつくっています。
国の国民に対する責務として、憲法で示されています。
憲法 第二十五条
すべて国民は、健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。
②国は、すべての生活部面について、社会福祉、社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。
憲法の理念である健康で文化的な最低限度の営む権利を具体的に保証するために、生活保護法が施行されています。
第一条 この法律は、日本国憲法第二十五条に規定する理念に基き、国が生活に困窮するすべての国民に対し、その困窮の程度に応じ、必要な保護を行い、その最低限度の生活を保障するとともに、その自立を助長することを目的とする。
生活保護を希望する方は、ご自分の住んでいる又は現在いる市町村にある福祉事務所へ申請することとなります。
第十九条 都道府県知事、市長及び社会福祉法(昭和二十六年法律第四十五号)に規定する福祉に関する事務所(以下「福祉事務所」という。)を管理する町村長は、次に掲げる者に対して、この法律の定めるところにより、保護を決定し、かつ、実施しなければならない。
一 その管理に属する福祉事務所の所管区域内に居住地を有する要保護者
二 居住地がないか、又は明らかでない要保護者であって、その管理に属する福祉事務所の所管区域内に現在地を有するもの
2 居住地が明らかである要保護者であっても、その者が急迫した状況にあるときは、その急迫した事由が止むまでは、その者に対する保護は、前項の規定にかかわらず、その者の現在地を所管する福祉事務所を管理する都道府県知事又は市町村長が行うものとする。
(以下、略)
具体的な申請内容は以下のように定められています。
第二十四条 保護の開始を申請する者は、厚生労働省令で定めるところにより、次に掲げる事項を記載した申請書を保護の実施機関に提出しなければならない。ただし、当該申請書を作成することができない特別の事情があるときは、この限りでない。
一 要保護者の氏名及び住所又は居所
二 申請者が要保護者と異なるときは、申請者の氏名及び住所又は居所並びに要保護者との関係
三 保護を受けようとする理由
四 要保護者の資産及び収入の状況(生業若しくは就労又は求職活動の状況、扶養義務者の扶養の状況及び他の法律に定める扶助の状況を含む。以下同じ。)
五 その他要保護者の保護の要否、種類、程度及び方法を決定するために必要な事項として厚生労働省令で定める事項
(以下、略)
ここにある厚生労働省令(生活保護法施行規則)で定める事項とは施行規則第一条第三項第一号及び第二号で示されています。
第一条 生活保護法(昭和二十五年法律第百四十四号。以下「法」という。)第二十四条第一項(同条第九項において準用する場合を含む。次項において同じ。)の規定による保護の開始の申請は、保護の開始を申請する者(以下「申請者」という。)の居住地又は現在地の保護の実施機関に対して行うものとする。
2 保護の実施機関は、法第二十四条第一項の規定による保護の開始の申請について、申請者が申請する意思を表明しているときは、当該申請が速やかに行われるよう必要な援助を行わなければならない。
3 法第二十四条第一項第五号(同条第九項において準用する場合を含む。)の厚生労働省令で定める事項は、次の各号に掲げる事項とする。
一 要保護者の性別、生年月日及び個人番号(行政手続における特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律(平成二十五年法律第二十七号)第二条第五項に規定する個人番号をいう。以下同じ。)
二 その他必要な事項
(以下、略)
申請を受け付けないという福祉事務所による対応が報道されることが度々あります。しかし、上記施行規則第一条第二項によれば、速やかに行われるよう必要な援助を行わなければならないと定めています。つまり、行政側には必要な援助を行う義務があります。
申請に不安に感じる方も少なくないかもしれません。行政書士として、申請書の作成のお手伝いや窓口同行するなどの支援はできます。必要なときは、弊事務所へご連絡ください。
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