
日本証券業協会は・・・認知症などによって判断能力が落ちた高齢顧客が株式や投資信託などの取引を続けられるサービスの仕組みを発表した。会員の証券会社が採用することを前提に設計者。認知能力が低下する前に配偶者や子・孫を代理人に指定し、事前に定めた「管理・運用方針」に沿って商品を売買してもらう。
日経新聞(令和7年2月20日朝刊)
日経の記事を日本証券業協会(以下、日証協と略す)のホームページで確認すると、このサービスについては「家族サポート証券口座」を開設することによって、今後の家族ニーズに応えていくようである。
判断能力の低下した高齢者等の財産保全の仕組みとして、法定後見制度や任意後見制度、民亊信託(家族信託)制度はある。しかし、既存の制度では高齢者の資産運用するためには十分ではないため、「家族サポート証券口座」の活用が提案されている。
確かに、法定後見制度や任意後見制度では対象とされる方の財産を守ることが重要であり、運用はできない。ただ、民亊信託においては委託者・受任者間の信託契約書の内容を工夫することで十分「家族サポート証券口座」と同じような仕組みで支援することは可能なように思える。
信託契約書作成の労力や費用面が、統一化されるサービスの形となるとしたら、「家族サポート証券口座」では煩雑や費用面で有利に働くかもしれない。
高齢者の財産を支える制度が複数となり選択の幅が広がることで、高齢者の認知能力低下後の生活の支えに寄与することができればより望ましいといえる。
しかし、注意を払う点はある。過去、高齢者の財産を巡っては親族による詐取は少なくなかった。そのため、制度的な安全面をどのように担保することは常に重要な視点であった。法定後見制度は家庭裁判所が、認知後見制度は任意後見監督人(監督人を通して家庭裁判所も関与する)が法定後見人や任意後見人に対するチェック機能を果たす。十分といえるかには議論はあるが、一定の公的な安全面が担保されてはいる。
一方、こうした後見制度と比較して、民亊信託や「家族サポート証券口座」サービスはチェック機能の面で、代理人や受任者の任意に判断を下すことが可能であるため、チェック機能の担保に不安があるように思える。この任意性が一定程度あることによって、資産運用ができるともいえる。
日証協のサービスが今後どのように展開していくのか気になるところです。
判断能力の低下が懸念される家族等のサポートについてご質問がございましたら、気軽に弊事務所へご連絡ください。
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