相続人の範囲は民法第5編相続で定められています。
その前に、血族と姻族、尊属と卑属という用語の説明をします。
血族とは、血縁関係のある者をいいます。自分の父や母、子などです。
姻族とは、婚姻によって始まる相手方の親族のことです。
血縁関係はありません。義父や義母、義理の兄や妹などです。
尊属とは、自分より上の世代の者をいいます。例えば、父や母、祖父、祖母などです。
卑属とは、自分より下の世代の者をいいます。例えば、子や孫、甥、姪などです。
相続人の範囲は、配偶者を除けば、血族の者に限定されます。
婚姻関係にある配偶者は常に相続人になります。
第八百九十条
被相続人の配偶者は、常に相続人となる。この場合において、
第八百八十七条又は前条の規定により相続人となるべき者があるときは、
その者と同順位とする。
内縁関係の者は、遺言がないと相続人にはなりません。
先の条文にある民法第887条をみてみると、
第八百八十七条 被相続人の子は、相続人となる。
つまり、死亡した者(被相続人といいます)に、配偶者と子がいた場合は
両者が相続人となります。
その他の相続人に関しては民法889条に定められています。
第八百八十九条
次に掲げる者は、第八百八十七条の規定により相続人となるべき者がない場合には、
次に掲げる順序の順位に従って相続人となる。
一 被相続人の直系尊属。ただし、親等の異なる者の間では、その近い者を先にする。
二 被相続人の兄弟姉妹
被相続人に子がいない時はじめて、直系尊属や兄弟姉妹が相続人になるということです。
では、具体的に見ていきます。
被相続人が夫で、残された家族が妻、子2人(姉、弟)、夫の母の場合を想定してみます。
妻は常に相続人となります。
子は第一順位の相続人に地位にありますから、妻と子2人が相続人となります。
この場合、夫の母は相続人とはなりません。
妻は法定相続分の割合は1/2です。
子2人の法定相続分の割合は1/2です。姉、弟の法定相続分の割合は1/2×1/2=1/4ずつとなります。
残された家族が妻と夫の母の場合では法定相続分は、
妻は法定相続分の割合は2/3です。
夫の母の法定相続分の割合は1/3です。
残された家族は妻のみで、夫には妹がいた場合の法定相続分は
妻は法定相続分の割合は3/4です。
夫の妹の法定相続分の割合は1/4です。
法定相続分は、以下のように定められています。
第九百条
同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、
直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、
兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。
ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、
父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
上記に、相続人の範囲の
基本的な考え方を見てきました。
相続人の範囲について
他にも考慮する点はあります。
相続放棄や代襲相続などです。
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