相続によって、被相続人(亡くなった方)の遺産を相続人の間で分配するためには、まず相続人調査が必要になります。
相続人調査とは、相続人を確定させるために、戸籍を収集していく調査をいいます。
法定相続分を考慮する際、各相続人が健在なのか、被相続人の子や兄弟姉妹の有無や人数は相続分に大きく影響しますので、慎重な相続調査が求められます。
民法では、法定相続分の規定を以下のとおり定めています。
第九百条 同順位の相続人が数人あるときは、その相続分は、次の各号の定めるところによる。
一 子及び配偶者が相続人であるときは、子の相続分及び配偶者の相続分は、各二分の一とする。
二 配偶者及び直系尊属が相続人であるときは、配偶者の相続分は、三分の二とし、直系尊属の相続分は、三分の一とする。
三 配偶者及び兄弟姉妹が相続人であるときは、配偶者の相続分は、四分の三とし、兄弟姉妹の相続分は、四分の一とする。
四 子、直系尊属又は兄弟姉妹が数人あるときは、各自の相続分は、相等しいものとする。ただし、父母の一方のみを同じくする兄弟姉妹の相続分は、父母の双方を同じくする兄弟姉妹の相続分の二分の一とする。
相続人一人でも除外してなされた場合や相続人ではない者が参加した場合の遺産分割協議は無効になります。相続人が確定していない状態で遺産分割協議を行った場合、やり直す必要が生じることとなります。以下の条文にある、一切の事情が考慮できないからです。
第九百六条 遺産の分割は、遺産に属する物又は権利の種類及び性質、各相続人の年齢、職業、心身の状態及び生活の状況その他一切の事情を考慮してこれをする。
具体的に相続調査では何を行っていくのかをみていきます。
まずは被相続人の戸籍の附票または住民票の除票を取り、被相続人の最後の住所を確認します。最後の住所を基点として、被相続人の死亡から出生まで遡った全ての戸籍を取り寄せます。被相続人が転居で複数の住所がある場合も少なくないですが、転居していた市町村窓口で請求しなくても郵送で入手することができます。
全ての戸籍が揃うことで、嫡出子や非嫡出子を含めた相続人関係を整理することができます。
被相続人の兄弟姉妹に関しては、被相続人の両親の死亡から出生まで遡った戸籍が必要です。両親の戸籍により、異父母兄弟の有無が確認できます。
以上の調査によって確認できた相続人が相続時点で存命であるかの確認が必要となります。この確認作業は、各相続人の現在の戸籍の附票または住民票を取り寄せて行います。
相続調査は被相続人の親族を戸籍などで一つ一つ追っていくものです。とても重要な調査なので確実性が求められます。相続調査をはじめとした相続の内容や手続きなどでご相談がある方は、お気軽に弊事務所へご連絡ください。
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