後見人に就任すると、対象者のために施設利用費や入院費、あるいは今までの負債の清算などをすることとなります。保佐人や補助人になった場合も、財産管理に関する代理権があれば同じような手続きをすることは求められます。
こうした支払行為を行うためには、対象者(以下、被後見人とします)の預貯金などを引き渡された後に、金融機関に出向いて被後見人の口座を後見人が使用できるようにする必要があります。
そのために、預貯金口座への後見人の登録を行います。
金融機関によって、手続きや用意するものに違いが出てくることもあります。
どの金融機関でも求められるものは、以下のとおりです。
・登記事項証明書(簡単に言いますと、法務局で発行される後見人、被後見人であることの証明書です)
・本人確認書類(運転免許証やマイナンバーカード)
・当該金融機関の通帳
金融機関によって、取り扱いが違う大きな点は、印鑑とキャッシュカードです。
用意する印鑑として、実印と認印があります。実印は印鑑登録してあるものです。
通常個人で口座開設し、窓口取引をする場合、認印で行います。後見人登録する場合も、認印でよいという金融機関は多いです。しかし、一部金融機関は、実印しか認めず、その登録の際に、印鑑証明書まで求めます。
認印にくらべ、実印を使用することに煩雑さを感じる人は多いのではないでしょうか。
キャッシュカードについて、後見人に対して代理カードとして発行してもらえる金融機関もありますが、全く発行してもらえない所もあります。
キャッシュカードが発行されないと、例えば、入院費や施設利用費の月々の支払いをする際、後見人がその都度窓口に行く必要があります。窓口営業時間は、ATM営業時間よりは短く、朝9時から昼3時までの時間帯に限られることが多いです。
さらに、口座開設した窓口以外では取引できない金融機関もあります。
後見人の就任後、金融機関への後見人登録する際、金融機関ごとに適用するルールには違いがあります。同じ後見制度が適用されるはずですが、制度を活用するにあたり、一手間かかることになってしまいます。後見制度が活用しやすくなるためには、以上見てきたローカルルールが少なくなる方向に向かっていければ後見事務が行い易くなると思います。
後見制度に関して、その他疑問や質問がございましたら、お気軽に弊事務所へご連絡ください。
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