自立訓練とは、どんなものをイメージするでしょうか。一般的には自立的に生活することを目的として、身体機能の回復を図るために歩行や身辺動作の訓練を想像することが多いと思います。
障害者福祉サービスにおける自立訓練は、身体だけに限定されず、精神や知的な障害を含めた対象の広いものです。
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律(以下、障害者総合支援法と略します)では、自立訓練を以下のように定義しています。
障害者総合支援法 第五条
この法律において「障害福祉サービス」とは、居宅介護、重度訪問介護、同行援護、行動援護、療養介護、生活介護、短期入所、重度障害者等包括支援、施設入所支援、自立訓練、就労移行支援、就労継続支援、就労定着支援、自立生活援助及び共同生活援助をいい、
(中略)
12 この法律において「自立訓練」とは、障害者につき、自立した日常生活又は社会生活を営むことができるよう、主務省令で定める期間にわたり、身体機能又は生活能力の向上のために必要な訓練その他の主務省令で定める便宜を供与することをいう。
(以下、省略)
障害者の日常生活及び社会生活を総合的に支援するための法律施行規則(以下、施行規則と略します)では、自立訓練を2区分しています。
施行規則 第六条の六
法第五条第十二項に規定する主務省令で定める期間は、次の各号に掲げる訓練の区分に応じ、当該各号に定める期間とする。
一 自立訓練のうち身体機能の向上に係るもの(以下「自立訓練(機能訓練)」という。)一年六月間(頸髄損傷による四肢の麻痺その他これに類する状態にある障害者にあっては、三年間)
二 自立訓練のうち生活能力の向上に係るもの(以下「自立訓練(生活訓練)」という。)二年間(長期間入院していたその他これに類する事由のある障害者にあっては、三年間)
機能訓練は主に身体障害を、生活訓練は精神障害、知的障害を対象にしています。
機能訓練の内容には、日常生活動作の訓練や福祉用具を使った訓練などがあります。
生活訓練の内容には、食事や家事など日常生活をおくるために必要な生活能力や、地域生活を暮らすために必要な社会適応能力を高めるための訓練などがあります。より実践的に地域へ戻るための宿泊型の訓練もあります。
サービスの長期化を防ぐために自立訓練には標準利用期間が設定されています。
機能訓練で1年6カ月、生活訓練で2年です。
施行規則 第六条の七
法第五条第十二項に規定する主務省令で定める便宜は、次の各号に掲げる訓練の区分に応じ、当該各号に定める便宜とする。
一 自立訓練(機能訓練)障害者支援施設若しくはサービス事業所(法第三十六条第一項に規定するサービス事業所をいう。以下同じ。)又は障害者の居宅において行う理学療法、作業療法その他必要なリハビリテーション、生活等に関する相談及び助言その他の必要な支援
二 自立訓練(生活訓練)障害者支援施設若しくはサービス事業所又は障害者の居宅において行う入浴、排せつ及び食事等に関する自立した日常生活を営むために必要な訓練、生活等に関する相談及び助言その他の必要な支援
自立訓練をより効果的に実施するため、相談や助言などが受けられます。また、施設以外にも障害者の自宅に訪問して自立訓練を受けることができます。
障害福祉サービスである自立訓練を利用する際は、自立支援給付のうち、訓練等給付を受けることができます。
障害者総合支援法 第六条
自立支援給付は、介護給付費、特例介護給付費、訓練等給付費、特例訓練等給付費、特定障害者特別給付費、特例特定障害者特別給付費、地域相談支援給付費、特例地域相談支援給付費、計画相談支援給付費、特例計画相談支援給付費、自立支援医療費、療養介護医療費、基準該当療養介護医療費、補装具費及び高額障害福祉サービス等給付費の支給とする。
自立訓練を受けるためには、指定特定相談支援事業所が作成したサービス等利用計画案を市町村に提出し、支給決定を受ける必要があります。ただし、障害支援区分は必要ありません。
以上、自立訓練について障害者総合支援法および施行規則での位置づけを確認しながらみてきました。自立訓練を含めて、その他障害福祉サービスについてご相談のある方は、お気軽に弊事務所へご連絡ください。
⇓