認知症高齢者や精神障害者、知的障害者などのご本人の判断能力などが不十分となると、住み慣れた地域で自立して生活することは難しくなります。ご家族や支援者の中には法定成年後見制度の利用を考え始める方もあるかとは思います。
法定後見制度には三類型あります。三類型とは、後見類型と保佐類型、補助類型のことです。意思能力の程度(物事に対しての諾否がどの程度示すことが出来るか)によって類型化されています。
しかし、法定成年後見制度を利用する前に、ご本人がある程度理解できる能力が残されている場合、日常生活自立支援事業(地域福祉権利擁護事業)の活用を検討してみてもよいのではないかと思います。
日常生活自立支援事業とは、第二種社会福祉事業のうち福祉サービス利用援助事業として位置付けられたものです。
社会福祉法第二条
3 次に掲げる事業を第二種社会福祉事業とする。
十二 福祉サービス利用援助事業(精神上の理由により日常生活を営むのに支障がある者に対して、無料又は低額な料金で、福祉サービス(前項各号及び前各号の事業において提供されるものに限る。以下この号において同じ。)の利用に関し相談に応じ、及び助言を行い、並びに福祉サービスの提供を受けるために必要な手続又は福祉サービスの利用に要する費用の支払に関する便宜を供与することその他の福祉サービスの適切な利用のための一連の援助を一体的に行う事業をいう。)
国からの補助を受けた都道府県社会福祉協議会からの委託を受けて、各市町村の社会福祉協議会がサービス提供をしています。
日野市社会福祉協議会では地域福祉権利擁護事業として以下の内容のサービスを提供しています。サービスには利用料がかかります。
・福祉サービスの利用援助(手続きや、利用料の支払いなど)
・日常的金銭管理サービス(生活費の預貯金からの払い出し、公共料金や家賃の支払いなど。通帳を預かることも可能)
・書類等預かりサービス(預貯金通帳、年金証書、権利証、実印、銀行印などを金融機関の貸金庫で保管)
八王子市社会福祉協議会や立川市社会福祉協議会からも同様のサービスを有料で受けることができます。
東京都社会福祉協議会が公表している都内の基本料金は以下のとおりです。
・福祉サービスの利用援助 1回1時間まで1,500円
・日常的金銭管理サービス(通帳等を本人保管による) 1回1時間まで1,500円
・日常的金銭管理サービス(通帳等を預かる) 1回1時間まで3,000円
・書類等預かりサービス 1カ月1,000円
ご本人が日常生活の金銭管理を含めてすべて行うことが難しい場合、日常生活自立支援事業(地域福祉権利擁護事業)を活用することで、生活がしやすくなるではないかと思います。
ただし、ご本人がサービス提供者との契約を理解できる能力は求められます。サービス提供前に訪問調査を行い、ご本人の理解能力の可否を確認することとなります。
できるだけ住み慣れた自宅や地域で生活するために、ある程度のご本人の理解能力が保たれている状態であれば、活用を考えてよい事業と思います。地域で利用できる福祉サービスや後見制度などの内容や手続きについてご相談のある方は、お気軽に弊事務所へご連絡ください。
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