土木建設工事は複数の事業者によって行われることが多いです。発注者から元請業者に、さらに元請業者から下請業者と複数の業者が参加します。多くの事業者が数次の階層をなして工事を行う場合がありますので、建設廃棄物の処理を巡っては、その責任の所在を明確にする必要性は強く求められています。
廃棄物の処理及び清掃に関する法律第二十一条の三により、以下のとおりに責任の所在を決めています。
土木建築に関する工事(建築物その他の工作物の全部又は一部を解体する工事を含む。以下「建設工事」という。)が数次の請負によって行われる場合にあっては、当該建設工事に伴い生ずる廃棄物の処理についてのこの法律(第三条第二項及び第三項、第四条第四項、第六条の三第二項及び第三項、第十三条の十二、第十三条の十三、第十三条の十五並びに第十五条の七を除く。)の規定の適用については、当該建設工事(他の者から請け負ったものを除く。)の注文者から直接建設工事を請け負った建設業(建設工事を請け負う営業(その請け負った建設工事を他の者に請け負わせて営むものを含む。)をいう。以下同じ。)を営む者(以下「元請業者」という。)を事業者とする。
2 建設工事に伴い生ずる産業廃棄物について当該建設工事を他の者から請け負った建設業を営む者から当該建設工事の全部又は一部を請け負った建設業を営む者(以下「下請負人」という。)が行う保管に関しては、当該下請負人もまた事業者とみなして、第十二条第二項、第十二条の二第二項及び第十九条の三(同条の規定に係る罰則を含む。)の規定を適用する。
3 建設工事に伴い生ずる廃棄物(環境省令で定めるものに限る。)について当該建設工事に係る書面による請負契約で定めるところにより下請負人が自らその運搬を行う場合には、第七条第一項、第十二条第一項、第十二条の二第一項、第十四条第一項、第十四条の四第一項及び第十九条の三(同条の規定に係る罰則を含む。)の規定の適用については、第一項の規定にかかわらず、当該下請負人を事業者とみなし、当該廃棄物を当該下請負人の廃棄物とみなす。
4 建設工事に伴い生ずる廃棄物について下請負人がその運搬又は処分を他人に委託する場合(当該廃棄物が産業廃棄物であり、かつ、当該下請負人が産業廃棄物収集運搬業者若しくは産業廃棄物処分業者又は特別管理産業廃棄物収集運搬業者若しくは特別管理産業廃棄物処分業者である場合において、元請業者から委託を受けた当該廃棄物の運搬又は処分を他人に委託するときを除く。)には、第六条の二第六項及び第七項、第十二条第五項から第七項まで、第十二条の二第五項から第七項まで、第十二条の三並びに第十二条の五の規定(これらの規定に係る罰則を含む。)の適用については、第一項の規定にかかわらず、当該下請負人を事業者とみなし、当該廃棄物を当該下請負人の廃棄物とみなす。
第二十一条の三第一項では、元請業者の事業者責任を負うとしています。
また、同条第二項から第四項では、下請負人が事業者となる場合を規定し、その場合には下請負人が事業者責任を負うとしています。
複数の事業者が錯綜しますので、建設廃棄物処理の責任の所在が不明確にならないよう、場面を想定し、元請業者、下請負人、どちらかに責任があるものとしています。
建設廃棄物については、同条第三項に建設工事に伴い生ずる廃棄物(環境省令で定めるものに限る。)とあります。具体的な規定は、建設廃棄物処理指針により定められています。
建設廃棄物には、直接工事から排出される廃棄物と現場事務所から排出される廃棄物があるものとし、種類別の区分を以下の図にまとめています。
図 建設廃棄物の種類(例) (図は建設廃棄物処理指針からの引用)
それぞれの分類に応じて適切な廃棄物の処理が求められます。産業廃棄物の中で建設廃棄物に特化して処理しようとする事業目的で収集運搬業許可申請をする場合、産業廃棄物のうちどの種類を取り扱うのか、種類別の運搬量をどのくらいの量に設定するのか等を事業計画の概要に記載する必要があります。
産業廃棄物許可をどの区分で行うのか、その区分に則って、事業計画の内容等をどう取りまとめていくのかは将来の事業を見据えて決めていく必要があります。取扱産業廃棄物の種類を追加するという変更が生じると、変更許可申請をしなくてはならなくなります。変更許可申請も新規許可申請と同様に労力はかかり、さらに追加費用も発生します。
建設廃棄物の収集運搬業や処分業許可申請についてご興味のある方は、お気軽に弊事務所へお問い合わせください。
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