宅地建物取引業の事務所で留意する点について

宅地建物取引業法では、事務所を設置する区域や数について、宅地建物取引業免許の申請先を以下のように定めています。

第三条 宅地建物取引業を営もうとする者は、二以上の都道府県の区域内に事務所(本店、支店その他の政令で定めるものをいう。以下同じ。)を設置してその事業を営もうとする場合にあっては国土交通大臣の、一の都道府県の区域内にのみ事務所を設置してその事業を営もうとする場合にあっては当該事務所の所在地を管轄する都道府県知事の免許を受けなければならない。

例えば、東京都日野市(本店)と新宿区(支店)に事務所を2か所設置する場合は、東京都知事から免許を受けることになります。これに対して、東京都日野市(本店)と他都道府県である神奈川県相模原市(支店)へ2か所設置する場合は、国土交通大臣からの免許が必要となります。

事務所の定義を、宅地建物取引業施行令(以下、施行令とします)は次のように規定しています。

第一条の二 法第三条第一項の事務所は、次に掲げるものとする。
一 本店又は支店(商人以外の者にあっては、主たる事務所又は従たる事務所)
二 前号に掲げるもののほか、継続的に業務を行なうことができる施設を有する場所で、宅地建物取引業に係る契約を締結する権限を有する使用人を置くもの

施行令第一条の二には注意する点があります。支店での業務がどのようなものであるかということです。支店が宅地建物取引業とは他の兼業業務のみを取り扱うときは、支店の登記があったとしても継続的に宅地取引業務を行っているとはみなされません。そのため、このような支店を事務所として取り扱う必要はありません。

上記の例で、支店が事務所として取り扱わないとして再び考えてみます。
東京都日野市(本店)と新宿区(支店:×事務所)の場合では、2か所から1か所へと事務所数は変更されますが、東京都知事からの免許を受けることに変わりはありません。
東京都日野市(本店)と神奈川県相模原市(支店:×事務所)の場合では、営業区域は東京都の一区域で、神奈川県は営業区域に含まれません。したがって、一都道府県への許可を受ける場合と同じになりますので、国土交通大臣ではなく、東京都知事からの免許を受けることで十分となります。

事務所の数は、営業保証金の額にも影響します。営業保証金については施行令により、以下のとおりです。

第二条の四 法第二十五条第二項に規定する営業保証金の額は、主たる事務所につき千万円、その他の事務所につき事務所ごとに五百万円の割合による金額の合計額とする。

したがって、主たる事務所が本店とすると、本店1か所と支店1か所の場合、営業保証金は1,500万円になります。

事務所として取り扱う必要がない支店である場合、営業保証金は本店1か所のみで1,000万円となります。

宅地建物取引業の事務所について、今回取り上げてみました。宅地取引業免許申請についてご希望される方、申請手続きについてご相談のある方は、お気軽に弊事務所へご連絡ください。

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