行政書士の業務範囲は多岐にわたります。
行政書士法では、行政書士業務は次のように定められています。
(業務)
第一条の二 行政書士は、他人の依頼を受け報酬を得て、官公署に提出する書類(その作成に代えて電磁的記録(電子的方式、磁気的方式その他人の知覚によつては認識することができない方式で作られる記録であつて、電子計算機による情報処理の用に供されるものをいう。以下同じ。)を作成する場合における当該電磁的記録を含む。以下この条及び次条において同じ。)その他権利義務又は事実証明に関する書類(実地調査に基づく図面類を含む。)を作成することを業とする。
2 行政書士は、前項の書類の作成であつても、その業務を行うことが他の法律において制限されているものについては、業務を行うことができない。
第一条の二第1項から、①官公署に提出する書類、②権利義務又は事実証明に関する書類が業務範囲といえます。
官公署に提出する書類の例としては、各種許認可の申請書や各種の届出書などがあげられます。
権利義務又は事実証明の書類の例としては、売買契約書、賃貸借契約書、遺産分割協議書、自動車登録証明書、交通事故調査報告書などがあげられます。許認可数も2万近くあるといわれ、行政書士の業務範囲がとても広いものであるといえます。
ただし、第一条の二第2項より、業務範囲は他の法律に制限された内容は行うことが出来ないとされています。他の法律とは関係士業法を指し、他の士業が行うものと定められた業務を行政書士は行ってはいけないということを意味します。
行政書士が抵触するおそれのある他の士業とは、弁護士、司法書士、税理士、社会保険労務士などを指します。
紛争性の生じている案件については、弁護士の業務であるため、行政書士は行えません。弁護士法第72条に抵触し、非弁行為に該当するからです。
(非弁護士の法律事務の取扱い等の禁止)
第七十二条 弁護士又は弁護士法人でない者は、報酬を得る目的で訴訟事件、非訟事件及び審査請求、再調査の請求、再審査請求等行政庁に対する不服申立事件その他一般の法律事件に関して鑑定、代理、仲裁若しくは和解その他の法律事務を取り扱い、又はこれらの周旋をすることを業とすることができない。ただし、この法律又は他の法律に別段の定めがある場合は、この限りでない。
同様に各士業法で業務範囲が規定されており、法務局への登記や供託は司法書士であり、税務相談や税務書類作成は税理士、社会保険に関する相談は社会保険労務士の業務となるので、行政書士は行うことはできません。
他士業との抵触問題のことを業際問題といいます。
よって、行政書士としては他の士業と協力し、連携した体制をつくって業務を行うことが重要なこととなります。
ご自分が抱えている問題をどの士業に相談したらいいのかお迷いの方は、行政書士を窓口として活用してください。お気軽にご連絡ください。
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