個人開業の診療所から法人格をもつ医療法人に変更したい
という希望をもたれている方もいるでしょう。
そこで、そもそも医療法人とは何かという点から始めて、
法人化の利点を以下に整理していきたいと考えています。
医療法人とは、医療法で以下のように定義されています。
第三十九条 病院、医師若しくは歯科医師が常時勤務する診療所、介護老人保健施設
又は介護医療院を開設しようとする社団又は財団は、この法律の規定により、
これを法人とすることができる。
2 前項の規定による法人は、医療法人と称する。
株式会社にある営利性というのではなく、
社団又は財団という組織形態のもつ非営利性が求められています。
医療法人は社団医療法人と財団医療法人に区分されます。
社団医療法人は、財団医療法人と比べるとその数が圧倒的に多いです。
そこで、今回は社団医療法人についてみていきます。
社団医療法人は医療法で下記のように規定されています。
第四十六条の二 社団たる医療法人は、社員総会、理事、理事会及び監事を置かなければならない。
社員総会は、以下のように定められています。
第四十六条の三 社員総会は、この法律に規定する事項及び定款で定めた事項について
決議をすることができる。
社員は、以下のように定められています。
第四十六条の三の三 社員は、各一個の議決権を有する。
2 社員総会は、定款に別段の定めがある場合を除き、総社員の過半数の出席がなければ、
その議事を開き、決議をすることができない。
社員は、社員総会という最高の意思決定機関に出席し、議決権を行使できます。
株式会社でいう株主総会に相当するものといえます。
理事や監事は、以下のように定められています。
第四十六条の五 医療法人には、役員として、理事三人以上及び監事一人以上を置かなければならない。ただし、理事について、都道府県知事の認可を受けた場合は、一人又は二人の理事を置けば足りる。
2 社団たる医療法人の役員は、社員総会の決議によつて選任する。
4 医療法人と役員との関係は、委任に関する規定に従う。
理事長に関しては、以下のように定められています。
第四十六条の六 医療法人(次項に規定する医療法人を除く。)の理事のうち一人は、理事長とし、
医師又は歯科医師である理事のうちから選出する。
ただし、都道府県知事の認可を受けた場合は、
医師又は歯科医師でない理事のうちから選出することができる。
第四十六条の六の二 理事長は、医療法人を代表し、医療法人の業務に関する一切の裁判上
又は裁判外の行為をする権限を有する。
理事会は、以下のように定められています。
第四十六条の七 理事会は、全ての理事で組織する。
2 理事会は、次に掲げる職務を行う。
一 医療法人の業務執行の決定
二 理事の職務の執行の監督
三 理事長の選出及び解職
理事は、株式会社でいうところの取締役、理事長は代表取締役といったところでしょうか。
理事会は取締役会に相当するといえます。
理事会は、医療法人における業務執行の意思決定機関であるといえます。
最後に、個人開業から医療法人化の利点をみていくことにします。
個人開業の所得税は超過累進税率が適用され、医療法人では法人税による段階税率が適用されます。
個人開業は所得が高くなるほど、医療法人より税金の負担が重くなる傾向にあります。
個人開業の所得は事業所得となり、青色申告特別控除を受けることができます。
一方、医療法人の経営者は給与所得となり、給与所得控除を活用することができます。
給与所得控除を活用した方が、より控除枠が広がる傾向にあります。
個人開業の場合、同一世帯の親族の給与は原則経費となりませんが、
医療法人では、同一世帯、別世帯問わず、親族の給与は経費になります。
以上みてきたように、一定以上の所得が見込まれると、
個人開業より医療法人とした方が節税という面では有利といえます。
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